「親の介護、在宅と施設どっちが安いの?」
「施設に入れた方が楽だけど、お金がかかるイメージ」
「在宅介護は無料だと思っていたけど、実は色々お金が出ていく」
親の介護費用は、選択肢によって月額3万円〜30万円と大きく変わります。
「在宅 = 安い」「施設 = 高い」という単純な話ではなく、要介護度・家族の状況・経済力で最適解が変わります。
この記事では、在宅と施設の費用を具体的に比較し、判断軸を整理します。
この記事でわかること
- 在宅介護にかかる費用の内訳
- 施設介護(各タイプ)の費用相場
- 親の年金収入で賄えるラインの目安
- 「結局どっちが安いか」のケース別判断
- 公的支援・保険でカバーできる範囲
結論: 状況によって最適解が違う
最初に大事な前提を共有します。
- 要介護1〜2: 在宅介護の方が安い
- 要介護3以上: 施設介護の方が現実的(家族の負担を考慮すると)
- 認知症の進行: 施設介護を検討すべきタイミング
要介護度が上がるほど、在宅介護の費用も家族負担も大きくなります。
「在宅が安い」は要介護1〜2までの話と理解しておきましょう。
在宅介護の月額費用
在宅介護の費用構造を整理します。
介護保険サービス利用料
要介護度に応じて、介護保険サービスを利用します。
自己負担は1〜3割(所得により異なる)。
要介護1の場合(月額利用上限166,920円)
- 自己負担1割: 約16,000円
- 自己負担2割: 約33,000円
- 自己負担3割: 約50,000円
要介護3の場合(月額利用上限270,480円)
- 自己負担1割: 約27,000円
- 自己負担2割: 約54,000円
- 自己負担3割: 約81,000円
要介護5の場合(月額利用上限362,170円)
- 自己負担1割: 約36,000円
- 自己負担2割: 約72,000円
- 自己負担3割: 約108,000円
介護保険外のサービス
- 配食サービス: 月15,000〜30,000円
- 見守りサービス: 月3,000〜10,000円
- 家事代行: 月10,000〜30,000円
おむつ・消耗品
- 紙おむつ: 月5,000〜15,000円
- パッド・防水シーツ: 月3,000〜8,000円
- 介護用品(手すり、ベッド等): 初期投資10〜30万円
医療費
- 通院費用: 月5,000〜30,000円
- 薬代: 月3,000〜20,000円
家族の隠れコスト
- 仕事を休む(有給・無給休暇)
- 帰省の交通費(月数万円)
- 心理的・体力的負担(金銭換算困難)
在宅介護の月額目安
- 要介護1〜2: 4〜8万円(自己負担1割の場合)
- 要介護3〜4: 8〜15万円
- 要介護5: 15〜25万円
家族の介護負担(無償労働)を金銭換算すれば、もっと大きな数字になります。
施設介護の月額費用
施設のタイプ別に費用を整理します。
特別養護老人ホーム(特養)
公的施設で最も人気。
- 月額: 8〜15万円
- 入居一時金: なし
- 待機期間: 数ヶ月〜数年(地域・要介護度で大差)
- 入居要件: 要介護3以上
- 食費・居住費は所得による軽減あり
介護老人保健施設(老健)
リハビリ目的の中間施設。
- 月額: 9〜17万円
- 入居一時金: なし
- 入居期間: 原則3〜6ヶ月(在宅復帰目的)
- 入居要件: 要介護1以上
介護療養型医療施設(2024年廃止)
医療と介護を兼ね備えた施設。
2024年3月で完全廃止。後継として「介護医療院」へ移行。
介護医療院
医療と介護を兼ね備えた新型施設。
- 月額: 10〜20万円
- 入居一時金: なし
- 入居要件: 要介護1以上
グループホーム
認知症高齢者向けの小規模施設(9人前後)。
- 月額: 12〜18万円
- 入居一時金: 0〜30万円
- 入居要件: 認知症の診断+要支援2以上
有料老人ホーム(介護付き)
民間運営の介護施設。
- 月額: 15〜35万円
- 入居一時金: 0〜数千万円
- 介護サービス込み
有料老人ホーム(住宅型)
介護サービスは外部委託の民間施設。
- 月額: 15〜30万円
- 入居一時金: 0〜数千万円
- 別途介護保険サービス費
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
賃貸住宅+見守りサービス。
- 月額: 12〜20万円
- 入居一時金: 数十万円(敷金扱い)
- 自立〜軽度介護向け
施設介護の月額目安
- 安め(特養・老健): 8〜17万円
- 中間(グループホーム・サ高住): 12〜20万円
- 高め(有料老人ホーム): 15〜35万円
在宅 vs 施設の月額比較表
要介護度別の概算比較です。
| 要介護度 | 在宅(1割負担) | 施設(特養) | 施設(有料老人ホーム) |
|---|---|---|---|
| 要介護1 | 4〜8万円 | 入居不可 | 15〜25万円 |
| 要介護2 | 6〜10万円 | 入居不可 | 17〜28万円 |
| 要介護3 | 8〜13万円 | 10〜15万円 | 20〜30万円 |
| 要介護4 | 12〜18万円 | 12〜16万円 | 22〜32万円 |
| 要介護5 | 15〜25万円 | 13〜17万円 | 25〜35万円 |
在宅と施設、どこで逆転するか
- 要介護1〜2: 在宅が圧倒的に安い
- 要介護3: 特養なら近い(待機問題あり)
- 要介護4〜5: 在宅の方が高くなることも(家族負担を含めると)
家族の負担を金額換算すると
- 親の介護で仕事を休む(月20時間): 機会損失2〜5万円
- 親の介護で離職する(年収400万円): 月33万円の機会損失
- 心理的負担(うつ・体調不良): 金額換算困難
これらを足し合わせると、「在宅は実質高い」というケースも多い。
親の年金収入で賄えるか?
実際の判断軸として、親の年金収入と月額費用を比較します。
平均年金収入
- 厚生年金(夫婦合計): 月22万円
- 厚生年金(単身): 月14〜15万円
- 国民年金のみ(単身): 月5〜6万円
ケース別の試算
ケース1: 厚生年金単身(月15万円)・要介護2
- 在宅介護費用: 月7万円
- 月8万円の余裕 → 在宅介護で問題なし
ケース2: 厚生年金単身(月15万円)・要介護4
- 在宅介護費用: 月15万円
- 余裕なし → 家族の追加支援が必要
ケース3: 厚生年金単身(月15万円)・特養入居
- 特養費用: 月12万円
- 月3万円の余裕 → 自己負担で問題なし
ケース4: 国民年金のみ(月6万円)・要介護3
- 特養費用: 月12万円
- 不足分: 月6万円 → 家族支援or自治体補助
自治体の負担軽減制度
- 高額介護サービス費(月の自己負担に上限)
- 高額医療・高額介護合算制度
- 特養の食費・居住費の補助(所得段階別)
- 自治体独自の介護支援
低所得世帯は、自己負担を大幅に軽減できる制度があります。
ケアマネジャーに相談すれば、使える制度を教えてくれます。
「親の家を売って施設費用に充てる」選択
親の年金だけで足りない場合、実家の売却で施設費用を準備するケースが多い。
よくあるパターン
- 親が一人暮らしの実家(空き家リスク)
- 親が施設入居 → 実家を空き家のまま放置 → 固定資産税6倍リスク
- 実家を売却 → 売却代金で施設費用を10〜20年カバー
実家売却のタイミング
- 親が施設入居を決めた時点で売却検討
- 施設費用を試算 → 売却代金で何年カバーできるか確認
- 「家を残したい」感情と「お金」のバランス
売却の代替手段
- 実家を賃貸に出す(月家賃で施設費用補填)
- リバースモーゲージ(自宅を担保に老後資金を借りる)
- 持ち家担保ローン(自宅を担保にした融資)
売却で実家がなくなる心理的負担
- 親の「実家を残したい」気持ち
- 家族の思い出の場所
- 帰省の拠点がなくなる
ただし、空き家のまま固定資産税を払い続けるリスクと、施設費用の不足を考えると、売却の方が合理的なことも多い。
介護費用を抑える5つの工夫
実践的な節約策です。
工夫1: 介護保険を最大限活用
- 要介護認定を必ず受ける(申請から30日程度で結果)
- ケアマネジャーに相談してケアプランを最適化
- 限度額まで利用すれば、自己負担は1〜3割
工夫2: 自治体の独自支援を確認
- 自治体独自の介護手当
- 介護用品の支給・貸与
- 配食サービスの補助
工夫3: 親の医療費控除を活用
- 年間10万円超の医療費は所得控除
- 介護費用も一部対象(寝たきり等の条件)
- 確定申告で還付
工夫4: 高額介護サービス費を活用
- 月の自己負担に上限額(所得別)
- 上限超過分は申請で還付
- ケアマネジャーが申請をサポート
工夫5: 兄弟で費用分担を決める
- 「介護する人」と「お金を出す人」の役割分担
- 介護に関わらない兄弟も金銭面で参画
- 揉めないために事前合意
「家族の限界」を見極める
経済的な比較も大事ですが、家族の精神・体力面の限界も判断軸です。
在宅介護限界のサイン
- 介護する家族がうつ症状(不眠・食欲不振等)
- 親への虐待リスク(怒鳴る・無視等)
- 家族の仕事継続が困難
- 親の認知症が進行(深夜徘徊・暴言)
このサインが出たら、施設介護への移行を真剣に検討すべき。
「在宅で限界まで頑張る」は美徳ではない
- 介護うつで家族が倒れたら、結局施設入居
- 親への虐待は最悪のシナリオ
- 早めの施設利用で家族関係を保つ方が合理的
まとめ
在宅 vs 施設介護の判断軸:
- 要介護1〜2は在宅が安い
- 要介護3以上は施設の方が現実的
- 親の年金収入で賄えるかを試算
- 家族の隠れコスト(機会損失・心理負担)も考慮
- 親の家売却で施設費用を捻出する選択肢
- 自治体・国の支援制度を最大限活用
「在宅が安い」「施設が高い」という単純な話ではなく、要介護度・家族状況・経済力で最適解は変わります。
まずは要介護認定を受け、ケアマネジャーと一緒にプランを組むところから始めてください。
施設介護を検討するなら、入居施設マッチングサービスで複数の施設を比較するのが効率的です。
