実家売却、古家付きで売る? 更地にする? 徹底比較

「築50年の実家、このまま売るか、解体してから売るか迷っている」
「解体費用200万円かけて、本当に元が取れるのか」
「不動産屋には『更地の方が売れますよ』と言われたけど、本当だろうか」

実家売却で必ず直面する判断が、「古家付きで売るか、更地にしてから売るか」です。
どちらが正解かは、物件の状態・立地・売却スピードによって変わります。「とりあえず解体」も「そのままで様子見」も、どちらも危険です。

この記事では、両者のメリット・デメリットを並べた上で、判断軸と決め方を整理します。

目次

この記事でわかること

  • 古家付き土地と更地の違い
  • 両者のメリット・デメリットを並べた一覧
  • 解体費用の相場と、補助金の使い方
  • 固定資産税が6倍になる「住宅用地特例」の落とし穴
  • どちらが向いているかのチェックリスト
  • 業者の「解体推奨」を鵜呑みにしないコツ

古家付き土地と更地の違い

まず、両者の基本的な定義を整理します。

古家付き土地とは

築年数が古く、建物の市場価値がほぼゼロの状態で売り出される土地のことです。
登記上は建物が残っていますが、買い手は基本的に「土地のみ」として評価して購入します。

  • 築30〜40年以上の戸建てで、リフォーム未実施
  • 売出価格は「土地値マイナス解体費用相当」が一般的
  • 建物の責任(契約不適合責任)を免除する特約を付けることが多い

更地とは

建物が完全に解体され、土地だけが残っている状態のことです。

  • 建物の構造物や残置物が一切ない
  • すぐに新築・駐車場・資材置場として使える
  • 買い手は土地として評価して購入する

「古家付き」と「更地」の違いは、解体されているかどうか。これが売却スピード・価格・税金にじわじわ効いてきます。

メリット・デメリットの比較

両者を並べると、見え方が変わります。

古家付きで売るメリット

  • 解体費用(100〜300万円)がかからない
  • 固定資産税の「住宅用地特例」が継続(更地より最大1/6)
  • 解体後の地中障害物リスクがゼロ
  • 価格を下げれば、買い手を見つけやすい局面もある
  • 「古民家」「DIYリノベ希望者」など、特定ニーズに刺さる可能性

古家付きで売るデメリット

  • 「建物が古い・汚い」で内覧時の印象が悪い
  • 一般の家族層には敬遠されやすい
  • 売出期間が長引きやすい
  • 「契約不適合責任」のリスクを完全に排除しづらい

更地で売るメリット

  • 「すぐ家が建てられる」分かりやすさで買い手の幅が広がる
  • 建売業者・分譲業者が買い手候補に入る
  • 内覧時の印象が良い(視界がスッキリしている)
  • 売却スピードが上がりやすい

更地で売るデメリット

  • 解体費用が先行投資になる(100〜300万円)
  • 固定資産税が翌年から最大6倍に跳ね上がる
  • 解体中に地中障害物(古い基礎・井戸・浄化槽)が出てくると追加費用
  • 売れないまま更地のまま放置すると、税負担だけ重くなる

解体費用の相場

判断材料として、まず費用感を押さえます。

木造の解体費用

建物規模 費用目安
20坪(2DK程度) 80〜140万円
30坪(3LDK程度) 100〜200万円
40坪(4LDK程度) 130〜280万円
50坪以上 200万円〜

地域差・接道条件で大きく変わります。重機が入れない狭小地は手壊し作業になり、1.5〜2倍に膨らむことも。

構造別の単価目安

  • 木造: 1坪あたり3〜5万円
  • 軽量鉄骨: 1坪あたり5〜7万円
  • 鉄筋コンクリート: 1坪あたり7〜10万円

追加で発生しやすい費用

  • 残置物処分(家具・家電が大量に残っている場合): 10〜50万円
  • アスベスト含有建材の処理: 10〜100万円
  • ブロック塀・カーポート撤去: 5〜30万円
  • 樹木・庭石撤去: 5〜20万円
  • 浄化槽撤去: 5〜15万円
  • 整地・砂利敷き: 5〜20万円

「解体費用150万円と言われたが、最終的に250万円かかった」という事例は珍しくありません。
追加費用込みの見積書を、3社以上から取って比較するのが鉄則です。

解体補助金の使い方

多くの自治体に「老朽空き家解体補助金」があります。

  • 補助金額: 上限30〜100万円が一般的
  • 条件: 築年数・耐震基準・特定空家認定など
  • 申請: 解体着手前の申請が必須(着手後は対象外)

「自治体名 + 空き家 解体 補助金」で検索すれば、その自治体の制度が出てきます。
解体を決めたら、まず補助金の有無と申請条件を確認するのが先です。

「固定資産税6倍」の罠

解体を判断する上で最も重要なのが、税金の話です。

住宅用地特例とは

家が建っている土地には、固定資産税の優遇があります。

  • 200平米以下の部分: 固定資産税が1/6
  • 200平米超の部分: 固定資産税が1/3

つまり、家が建っているだけで、税金が大幅に安くなっています。

更地にすると、特例が外れる

家を解体して更地にすると、この特例が翌年から外れます。
固定資産税が一気に最大6倍に跳ね上がります。

具体例

  • 評価額1,500万円の土地
  • 古家あり: 年間固定資産税 約3.5万円(1/6特例適用)
  • 更地化後: 年間固定資産税 約21万円

「解体しただけで、税金が年間17万円増える」という現実が待っています。
更地のまま売れずに3年放置すれば、51万円の余計な税負担です。

解体タイミングの最適化

固定資産税は1月1日時点の状態で決まります。

  • 1月1日に建物が残っていれば、その年は住宅用地特例が継続
  • 1月1日に更地なら、その年から特例なし

つまり「春〜秋に売却交渉を進め、年明け1月以降に解体」というスケジュールを組めると、税金を1年分節約できる可能性があります。

ただし「買い手が決まった上での解体」が前提。売れる確証なしに解体すると、特例なしの状態で売れ残るリスクがあります。

どちらが向いているかチェック

物件の特徴で判断軸を整理します。

古家付きが向いているケース

  • 建物の状態が比較的良好(雨漏り・シロアリ被害がない)
  • 築40年以内
  • 駅近・都市部などで土地需要が強い
  • 解体費用をかけたくない・かけられない
  • 急いでいない(1年以上売出期間を取れる)
  • 古民家としての雰囲気がある(梁・柱が良い、土間がある)

更地が向いているケース

  • 建物が極度に老朽化(雨漏り・シロアリ・倒壊リスク)
  • 築60年以上
  • 郊外・住宅地で建売業者が買い手になりそう
  • 既に解体補助金が出る自治体(50万円以上)
  • 1年以内に売り切る必要がある
  • 残置物が膨大で、買い手が嫌がるレベル

判断に迷ったときの中間策

「両方の選択肢を提示する」という売り方もあります。

  • 売出時の表記: 「古家付き(更地渡し相談可)」
  • 買い手の希望に応じて、解体費用を売主負担にするか、買い手負担で価格調整するか交渉
  • 業者には「両パターンで見積もりを取って」と依頼

これなら、買い手の幅を最大化できます。

業者の「解体推奨」を鵜呑みにしない

不動産業者が「更地にした方が売れますよ」と言うことがあります。
これには、業者側の事情も絡んでいます。

業者目線でのメリット

  • 内覧時の見栄えが良く、客付けがしやすい
  • 売却スピードが上がり、仲介手数料を早く回収できる
  • 提携の解体業者から紹介料が入る場合もある

業者の助言が間違っているとは限りませんが、「業者が言うから」だけで判断するのは危険です。

自分で判断するために

  • 同じエリアで「古家付き」と「更地」の両方の売出事例を見る
  • 不動産ポータル(SUUMO・HOME’S・アットホーム)で類似物件を検索
  • 「古家付きは平均6ヶ月で売れているか?」「更地は平均3ヶ月で売れているか?」をデータで確認

最終判断は、業者の言葉ではなくデータに基づいて行うのが鉄則です。

古家付きで売る場合の工夫

「古家付きでいく」と決めた場合の売り方のコツです。

  • 草刈り・雑草処理だけはしておく(放置感を消す)
  • 庭木を剪定し、敷地境界を見やすくする
  • 残置物の撤去だけは済ませる(家具・家電・布団など)
  • 写真は晴れた日に・広角で・敷地全体が分かるカットで
  • 物件紹介文に「土地評価で価格設定」と明記する
  • 「契約不適合責任免除」の特約を付けることを業者と確認

「古家付き = 何もしなくていい」ではありません。最小限の整備で、売却スピードは変わります。

更地で売る場合のチェックリスト

「更地化を決めた」場合に、抜け漏れチェック。

  • 解体補助金の申請を着手前に済ませたか
  • 3社以上から見積を取ったか(地中障害物リスクも確認)
  • アスベスト調査が必要か業者に確認したか
  • 解体時期は「1月2日以降」に設定できるか(税金最適化)
  • 売主買主間で「解体費用負担」の合意が取れているか
  • 整地レベル(砂利敷き・更地・粗整地)を明確にしたか
  • 隣家への挨拶・粉塵対策の確認は済んだか

解体は一度始めると後戻りできません。事前確認を細かくすることが、最終コストを左右します。

まとめ

実家売却で「古家付きか更地か」を決めるポイント:

  1. 解体費用は木造30坪で100〜200万円が目安
  2. 解体補助金(30〜100万円)を必ず確認
  3. 更地化すると固定資産税が翌年から最大6倍
  4. 解体タイミングは1月2日以降が税金的に有利
  5. 業者の「更地推奨」は鵜呑みにせず、データで確認
  6. 中間策として「古家付き(更地渡し相談可)」も有効

古家付きと更地、どちらにも一長一短があります。
判断の出発点は「解体費用 < 更地化による売却額アップ」の式が成り立つかどうか。
不動産一括査定で「古家付き査定」と「更地査定」の両方を取り、解体業者から見積を取って、3つの数字を並べたところからスタートしてください。
そのうえで、家族で焦らず決められれば、後悔のない判断ができます。

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